大国の横暴としか言えない戦争が長く続いている。ロシアのウクライナへの一方的な武力侵攻、イスラエルによるガザへの自衛行為を超える非人道的な攻撃。国連はじめ世界世論にも聞く耳を持たない国のトップとして君臨するプーチン、ネタニヤフ。国際刑事裁判所(ICC)は彼らに対して戦争犯罪の容疑で逮捕状を出した。ところが、そのことで逆に検察官、裁判官がロシアやイスラエルの後ろ盾のアメリカから指名手配や資産凍結などの制裁を受けることになった。2024年に裁判官の互選で所長に選ばれた著者もその一人であり、危機直面のなかで奮闘するICCの今を語る。「国家間の紛争」を裁定の国連機関であるICJ(国際司法裁判所)とは異なり、戦争犯罪や人道に対する「個人」の刑事責任を追及する。国際条約「ローマ規定」の締結国125カ国・地域で構成されていること。ジェノサイド(集団殺害犯罪)や侵略犯罪など犯罪の規定、公判の開始から判決、刑の執行も興味深く、その苦労も大いに偲ばれる。そして、アジアの締結国を増やしたい、日本は早急にジェノサイド条約のへの加入を、との思いに政府は応えるべきと思う。先日の新聞に、著者がトランプ米国のベネズエラへの行動を「法の支配より、手っ取り早い正義」の広がりと懸念していた。海の向こうで「国際刑事裁判所は屈しない」と語る著者にエールをおくりたい。













